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デンマークの高齢者が語る本当の気持ち。 [デンマークの生活]

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なかなか伝わることのない、一般のデンマーク人1人1人の生活、思い、体験。心に秘めていた孤独な心情と体験を綴った話題の書を、日本に紹介したいと思い、翻訳・出版しました。

高齢者の孤独―25人の高齢者が孤独について語る (シリーズデンマークの悲しみと喪失)

  • 作者: ピーダ・オーレスン&ビアギト・マスン編,石黒 暢 訳
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2008/03
  • 価格(税込): 1890円


これはデンマークの高齢者たちが自分の孤独を赤裸々に綴った本です。編者の一人であるピーダ・オーレスンは、15才のときに父親を亡くし、同様に親を亡くし、それを乗り越えて生きてきた人々の人生経験や思いを語ってもらうことが、同じような状況にいる人々に力を与えるのではないかと考え、親を亡くした経験がある人の手記を集めた「母が死んだ、父が死んだ (Min mor døde, min far døde)」(クローウ出版)を1999年に出版しました。これがデンマークで大きな反響を呼んで、その後、配偶者の死や兄弟の死、両親の離婚、家族の認知症発症などさまざまな悲しみや喪失を体験した人の手記を集め、「悲しみと喪失のシリーズ」として世に送り出しています。25人の高齢者が孤独を語った本書はこのシリーズのうちの1冊です。

本書の特徴の一つは、その語りの率直さだと思います。包み隠すことなく、時には激しい怒りを交えながら孤独の辛さや悲しみを綴った文章に、読者は強い衝撃を受けるかもしれません。しかし、崩れそうになりながらも一歩一歩悲しみを乗り越えながら人生を歩んできた著者たちの姿には、底に秘めた人間の強さが感じられ、勇気を与えられます。

そうそう、それからこの本の売りは、写真の素晴らしさです。著者25人それぞれの写真が数枚ずつ入っているのですが、その写真がとてもよいのです・・・。ぜひご覧ください。また、写真入り、実名入りの手記なのに、家族、親族に対する気持ちまで本当に赤裸々に語っているところも、とても印象的です。

読んでいただいた方々から続々と感想が寄せられています。「遠い国の遠い存在だと思っていたデンマーク人も、日本人と同じような感情を持っているんだなあと思った」といった声を聞くことが多いのですが、まずはそれを認識することが第一歩だと思っています。日本人もデンマーク人も同じ人間で同じような問題を抱えている。デンマーク人は日本と違うアプローチで社会を形成してきているけれども、共通項を持っている。そのデンマーク人から何を学べるだろうかというところから、日本は建設的に議論を進めないと、デンマークをはじめとする北欧諸国から何も学ぶことはできないと思います。

本書の中のこの部分が心に残ったとか、あの文章が印象的だった・・・などの感想をたくさんいただいているのですが、読まれる人々によって、印象に残った部分が違うのがとても興味深いです。まだ読まれていない方はぜひ読んでいただいて、感想、印象に残った箇所などをお聞かせいただけると大変嬉しいです!

出版社の本書紹介サイト:http://www.shinhyoron.co.jp/cgi-db/s_db/kensakutan.cgi?j1=978-4-7948-0761-8

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