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たった2日のデンマーク出張。 [海外出張]

5月には超短期のデンマーク出張がありました。

大学の授業期間中の出張ですから。
なんとかして授業の穴をあけないようにするために、出張は現地滞在2日、とコンパクトにまとめてみました。


DSCF2873(1).jpg

出張の主な目的は、介護セミナーへの出席


未来の高齢者介護(Fremtidens aeldreomsorg) というセミナー。
デンマークの高齢者介護を研究する者にとっては、絶対必須のセミナーですね[目]


今年の1月に開催したセミナーが好評で定員を超える参加申し込みがあったので、同じ内容でもう一度開催することになったそうです。


主催は、高齢者介護情報センター。


セミナーの言語がデンマーク語だったせいか、参加者はほとんどデンマーク人で、日本人の参加者は私のみ。


開場は9時で、セミナー開始は10時。


受付を済ませると、開始までの時間はコーヒー・紅茶とパンでゆったり過ごすことができます。
コーヒーを飲みながらセミナー資料をぱらぱらめくっていると、主催側スタッフの1人が話しかけてくれました。


彼女は、以前私がデンマークの新聞に投稿した論説記事に対するコメント記事を書いてくれたアネデさんでした。OTで高齢者介護情報センターの研究員です。日本に一時期滞在されていたので、日本の高齢者介護にも造詣が深いです。お会いしたのは初めてで、日本とデンマークの介護について話が弾みました。


そのほかに、デンマークのG市で福祉テクノロジー担当で仕事をしている方からも声をかけていただき、いろいろと有用な情報をいただいたりして、セミナー開始前の時間も有意義でした。


セミナーの内容ももちろんとても充実していて、今後の研究に示唆を与えてくれる多くの情報や気づきを得ることができました。



参考までにセミナーのプログラムを掲載しておきます。


10.00 - 10.15: 歓迎の言葉
Forsknings- og udviklingschef Helle Krogh Hansen, Sundhed, pleje og rehabilitering, Profesionshøjskolen Metropol


10.15 - 10.45: 私たちの寿命は延び、生活条件も向上しているのか?
Institutleder, cand.med. Bernard Jeune, Institut for Sundhedstjenesteforskning og Dansk Center for Aldringsforskning, Syddansk Universitet


10.45 - 11.15: 高齢者は何を望んでいるのか?福祉国家は要求に答えられるのか?
Docent, cand.oecon Eigil Boll Hansen, AKF, Anvendt Kommunal Forskning


11.15 - 11.45: 高齢者介護のインフォーマル化 ~ 家族・友人・近隣の負担の増大
Ekstern lektor, ph.d., MPH Myra Lewinter, Sociologisk Institut, Københavns Universitet


12.00 - 12.30: 海外の経験 ~ EUでは何が起こっているのか? 東欧・アジアからの介護者に頼ることになるのか?
M.Sc., ph.d. Tine Rostgaard, SFI, Det Nationale Forskningscenter for Velfærd


12.30 - 13.00: 福祉テクノロジー ~ 新しい可能性と選択
Projektleder Erland Winterberg, Nordens Välfärdscenter


13.00 - 14.00: ランチ


14.00 - 15.00: 教育、リクルートと職場への定着
Formand for Lederforeningen i Dansk Sygeplejeråd (og tidl. plejehjemsleder) Irene Hesselberg og forbundsformand i FOA, Dennis Kristensen


15.00 - 15.30: 高齢者団体から見た未来
Næstformand i Ældre Sagen Søren Rand




セミナー出席以外にもう1つ、出張の重要な目的がありました。

それは、ベント・ロル・アナセン元社会大臣とお会いすること。
デンマークの高齢者政策委員会(1979~1982年)の委員長も務められ、高齢者福祉の3原則を提唱された方で、デンマークの高齢者福祉の発展に大きな役割を果たされた方です。


私が学部生でロスキレ大学に留学した際、副指導教官となってくださったご縁があり、それ以来、ずっと連絡をとらせていただいています。


今回は、私が2011年2月に翻訳出版した『認知症を支える家族力』の本の帯に素晴らしいコメントを書いていただいたので、そのお礼がしたくて、ぜひランチにご招待したい、と私から連絡したのです。


体調が少しすぐれないようだったので、無理せずにまたの機会に延期しましょうか、とご提案したのですが、

「このチャンスを逃すと次に会えなくなってしまうかもしれないので、何としてでも行く」

と言ってくださいました。


お会いしたのはコペンハーゲンのチボリ公園の中にあるFaergekroen Bryghus というレストラン。おいしい地ビールも醸造している素敵なデンマーク料理レストランです。クラシックな店の雰囲気もとてもgood.

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久しぶりのアナセン元社会大臣との再会。新しいパートナーのルトさんとも初めてお会いすることができました。


オープンサンドイッチと地ビールを楽しみながら、近況報告から日本とデンマークの高齢者介護まで話が尽きませんでした。

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とりわけ、最近の高齢者介護政策の方向性に大きな疑問を抱かれていて、高齢者福祉の3原則が忘れられようとしている、と憂慮されていました。


最近のデンマークの介護研究の動向については以下のように言われていました。


ケアサービスのタスク(掃除、食事づくり、買い物など)に関する議論ばかりで、高齢者がどのような生活やサービスを望んでいるのかといった質に関する議論が少なすぎる、と。


確かに、これは研究者が積極的に議論し、政策的なレベルに働きかけていかなければならない視点です。


このあたりはまた別の機会にもう少し詳しく論じてみたいと思います。


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