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素朴な質問・・・デンマークの保育 [デンマークの社会]

来日していたデンマークの保育園園長のレア・ゴロドノフさんから、無事帰国したとのメールがありました。

日本に来られたときには「まったく時差ボケないの♪」と言われていたけど、デンマークに帰国した後はひどい時差ボケに悩まされているとか・・・

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レアさんは保育に確固とした信念をもっていて、それを現場で実践する。パワフルかつ行動力がある方でした。

3か所で講演をされましたが、そのときに出た質問を中心に、デンマークと日本の保育の違いを考えてみたいと思います。

★デンマークの保育所ではどうして乳児を屋外で寝かせるの?

デンマークの保育について必ず出る質問。乳児をキャスター付きの可動式のラックのようなベッドに寝かせ、それを屋外まで移動してそこで昼寝させるのが一般的なデンマークの保育所。その様子をスライドで見せると必ず聴衆から驚きの声が漏れます。
真冬でもこれですからねー。モコモコに着せて暖かい布団をかけて、完全防寒!です。

私自身、このことが気になってデンマークの育児書で調べたことがあるのですが、ある本には「寒くてもマイナス15度までは外で寝かせても問題ないだろう」と書かれていました。

なぜそんなことをするかというと、1つには、屋内の空気はウイルスや細菌がいっぱいあったり、建材の化学物質で汚染されているため、屋外の空気のほうが清浄で子供によいから。2つ目に、外気に触れさせ、外気を吸わせた方が、抵抗力がつき、体が強くなるから。デンマークではそう考えられています。

ノルウェーやスウェーデンでも同じような習慣があるものの、お隣のドイツなどにはないため、そういった国から視察が来ると、外でお昼寝をしている子供を見てみんな驚くといいます。

保育所でなくても一般家庭でもバギーに子供を寝かせて外に置いている様子をよく見かけます。

★デンマークの保育所では子供が目の届かないところで遊んでいても日本ほど気にしないようだけど、ケガしたりなど危ないことはないの?

デンマークの保育所に行くと、保育士たちが園庭でコーヒーを飲みながら休憩していたりなどリラックスしている姿がよく見られます。(その姿に、日本の保育士さんたちはうらやましい・・・とため息つかれます。) さらに、デンマークの保育所の庭はとても広くて森など自然を再現した造りになっていることが多く、子供の遊んでいる姿が見通せないことがあります。そういうときに子供の安全性がとても気になるものです。

まず、デンマークの遊具の安全基準は非常に厳しくなっています。レアさんが日本の保育所や幼稚園を視察されたとき、園庭の遊具を見ながら「デンマークでこういった遊具は絶対に認可されないわ」とよく言われていました。レアさんいわく「デンマークの安全基準はあまりにも厳しすぎると思う」。

しかし、それでも子供たちが保育所で遊んでいてケガをすることは往々にしてあるようです。これは日本でも同じですよね。

そんなときに、保護者に対してどう対応するか? そこに日本人の関心が集中します。
講演会でも、「親に対してはどのように説明するのですか?」「謝罪するのですか?」という質問が何度か飛び出しました。

「どのような状況でケガをしたのかをそのまま説明します。謝罪なんかしませんよ(笑)」と話すレアさん。

「日本ではモンスターペアレントという言葉があるのですが、なんでも文句をつけてクレームばかりつける親が最近よくいるんです。」 「デンマークでもそんな親はいますよ。そんなときには親を呼び出して、じっくり対話して理解しあうことを試みます。たいていの場合、それで解決できるものです。」

私も同じような質問を、デンマークの保育所で何度か投げかけたことがあります。そのときの回答も大体同じようなものでした。

デンマークでしょっちゅう耳にする”対話”(デンマーク語ではdialog)という言葉。オープンな対話がどのレベルにおいても可能であるということ、そしてそれを可能とする土壌。デンマークの社会を特徴づける大きな鍵だと思います。


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sawahiro

お久しぶりです。

私の娘も保育園(vuggestue)へ行き始めて1年が経ちました。娘の保育園では構造的に外に連れ出しにくくなっているため、寒いお部屋で、やっぱり身体をすっぽりくるんで寝ています。外で寝させることはたまにありますが、その方がほんとに良く寝てくれるんです。不思議です。睡眠時間に明らかに差があります。抵抗力がつくとも考えられているのですね。知りませんでした。

怪我した時、お医者さんに見てもらった方が良いほどの怪我であれば、保育園からすぐ親に電話があります。その際親がお医者さんへ連れて行くことになっていて、保育士さんはつれていきません(親と連絡が取れないとかだと別だと思いますが)。それを日本のお友達に言ったら驚いていました。

謝罪とかはなかったですが、それでも保育士さんもかなりショックを受けられていたので、お医者さん後報告の電話をして、大丈夫でしたよと言うとすごく安心されていました。病院ではムスリムの女性に事情を話していると「それで保育士さんからの謝罪はないの!?」と言われていました。考え方が日本と似ているなぁとちょっと可笑しかったです。怪我はどれだけちゃんと見ていても避けられないですもんね。
by sawahiro (2008-11-29 03:56) 

Nobu

sawahiro さん、コメントありがとうございます。
お元気ですか?
お子さん、ずいぶん大きくなられたんですね。
保育施設の対応や保育への考え方については、日本とデンマークで文化の違いを感じられることが日々多いでしょうね。

最近、デンマーク出張する際にはバタバタしていて、会いたい人になかなか会えないのですが、またぜひお子さんにも会わせてくださいね!
by Nobu (2008-12-01 23:27) 

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