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食の多文化共生 [社会]

最近、起業して社会に貢献する素晴らしい取り組みをしている若い人たちの活躍ぶりをよく目にします。
今回ご紹介する「インターナショクナル」も、学生の起業によるNPOです。
1867463↑イベントの模擬店で原材料表示を普及している様子

団体名のインターナショクナル、「インターナショナル」と「食」を掛け合わせたものです。

代表、事務局長ともに大阪大学外国語学部生です!
2006年7月設立とまだ若い団体ですが、食品の絵文字による原材料表示を推進するため、精力的に活動をされています。

宗教上の理由で豚肉が食べられない外国人と日本で出会ったことがきっかけだったそうです。日本の飲食店では安心して食べられるところがないという現実。
外国人を受け入れている国として、誰もが安心して食を楽しめる環境を作っていかなければならない、と考えて、活動を始めたそうです。

宗教上の理由から食事規制をもつ外国人だけでなく、アレルギーをもつ人、ベジタリアンなど「食事のバリア」をもつ人々を活動の対象とされています。

具体的な活動としては、独自の食品原材料表示ピクトグラムを作成され、その普及に尽力されています。

1867582

イラストのセンスがなかなか素敵ですよね。

食物アレルギーをもち、食事制限をしている子供をもつ身として、私も、食品原材料表示に大いに関心があります。
また、自分自身も子供の授乳中は、アレルゲン食品が母乳から子供に入ってしまうことを防ぐために、かなり厳格な食事制限をした経験があります。

食事制限がある人は、外食をする際には、いちいちお店の人に原材料をたずねてチェックしなければなりません。言葉の壁がある外国人には難しいことです。最初からメニューにアレルゲン表示されていると嬉しいですよね。子供でも外国人でも、自分が食べられるメニューがわかるようになります。

販売されている加工品でもそうです。たとえば、乳製品を除去しているアレルギー患者は、商品の原材料表示を見て、「牛乳」「脱脂粉乳」などの文字がないか探しますが、多品目の原材料が並んでいる場合、同じ乳製品である「バター」などは、つい見落としてしまったりすることもあります。大体、小さい文字が並んだ原材料表示はとても見にくいです。そんなとき、「乳製品」のピクトグラムがあれば、一目瞭然です。

そういえば・・・ピクトグラムとちょっと似ていますが、原材料中のアレルゲンをイラストで表示しているお菓子のシリーズがあります。うちの子供でもそれを見て判断できるので、スーパーで商品を見ながら「このお菓子は卵入ってるからダメ」などと言って選んでいます。

「食」は人間の生存にとって不可欠な行為であるとともに、日々の楽しみであり、人間関係のなかでも重要な役割を果たすものです。
私が研究対象としている、デンマークの高齢者向け介護型住宅などでも、最近は、以下に「食事の時間」を豊かなものにするか、ということに焦点があてられ、工夫に工夫が重ねられています。
この大切な「食」の部分で、日常的に不安をかかえ、選択肢が狭められることは、人間にとって大きなストレスであり、豊かな日常生活を送ることなどできません。他人と一緒に食事を楽しめなければ、交流の場も狭くなりますし、人間関係にも影響が及びます。

インターナショクナルの活動は、食のバリアをもつ人が、より安心して生活できるよう、社会をよりよく変えていくために、大きな貢献をしています。
今後の活動に引き続き注目していきたいと思います!

参考:
http://www.i-nsl.org
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東浜美咲(NPOインターナショクナル)

石黒先生へ

お世話になっております、NPOインターナショクナル事務局の東浜です。

この度は当団体の活動にについて、ブログでご紹介いただきありがとうございます。また、日頃から活動の趣旨にご賛同いただき、ご自身の経験も踏まえたアドバイス等もいただきまして、誠にありがとうございます。

「食」は「食べる」という基本的な営みであるだけではなく、石黒先生のおっしゃるように、人とコミュニケーションをとったり交流を深めたりする場にもなっているのですよね。
私たちも実際に食事規制をもつ方々にお会いして話を聞き、たくさんの方々がそうした面でも日本における「原材料表示」の充実を望んでいることを実感しております。

安心して楽しく食事ができる、食事規制をもつ方にも配慮が行き届いた環境をつくるため、これからも精一杯取り組んで参ります。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

東浜
by 東浜美咲(NPOインターナショクナル) (2008-06-25 16:51) 

Nobu

>東浜さん

コメントとメールありがとうございます!

食が人と人とのつながりのなかで大きな役割を果たすことは、自分自身が食事制限をしていた時期に痛感しました。

人は、「あそこにおいしいお店があるから、一緒に食べに行かない?」などと、食をきっかけ/口実にしてお付き合いを深めようとすることがよくありますよね。そんなときに食のバリアがあると、つい二の足踏んでしまうんです。

ピクトグラムが普及すれば、原材料表示の意味で前進するだけでなく、お店やレストランのメニュー開発に向けた啓発にもつながりますよね。宗教上で制限のある人がいるんだったら、豚肉を使わないメニューをいくつか作ろう、とか、アレルギーの人が増えているなら、それに対応した卵・乳製品抜きのメニューも考えよう、とか、そう考える店舗が増えてくるのではないかと思います。こうした側面からの今後の発展もひそかに期待しています。

箕面の補助金交付も嬉しいニュースです。今後とも着実に活動を展開されていくことを期待していますね!
by Nobu (2008-06-26 08:39) 

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