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悲しみの影に ~ 兄弟姉妹を亡くした子どもたち [デンマークの生活]

デンマークのラジオ番組で、兄弟姉妹を亡くした子どもへのサポートについてのドキュメンタリーが放送された。

デンマークでは毎年約700人の子どもが亡くなっているが、後に残された兄弟姉妹の悲しみについてはあまりスポットが当てられていない。親を亡くした子どもには、行政やNPOがサポートの手を差し伸べて、自助グループを紹介する。同じような体験をした人たちと会い、話しをすることができる。しかし、兄弟姉妹を亡くした子どもにはそのようなサポートも自助グループもほとんどないという。

自分の辛い気持ちを両親に聞いてほしくても、両親も悲しんでいる。心配はかけられない。そして悲しみを一人で抱え込んでしまう。

番組では、14歳のときに交通事故で兄を亡くすという辛い体験をした17歳の少女が語っていた。精神科医と話をして少しは楽になったが、それよりも、同じような経験をした子どもと話をしたかった。気持ちを共感できる誰かと話し、自分一人じゃないんだと感じたかったという。

「兄弟姉妹を亡くした子ども」と「親を亡くした子ども」は、「家族を亡くした」という点で共通している。でも、やはり、兄弟姉妹と親では関係性も異なるし、悲しみの感じ方も違う。だから、「兄弟姉妹を亡くした子ども」を「親を亡くした子ども」の自助グループに入れることはできない。17歳の少女も、自分が親を亡くした子どもの自助グループには入りたくはないと言っていた。

このような背景を受けて、兄弟姉妹を亡くした人に向けたウェブサイト "Soeskendekram.dk" が3年前に立ち上げられた。弟を亡くした女性が、同じような悲しみを経験した人たちをサポートするサイトをつくったものだ。兄弟姉妹を亡くした人がネット上で交流でき、体験や感情を共有できる。

17歳の少女もこのサイトに出会い、悲しみを分かち合える仲間に出会い、救われたという。

自助グループが発達しているデンマークだが、兄弟姉妹を亡くした子どもの悲しみは、子どもを亡くした親たちの悲しみの影に隠れてしまっている。

("Naar sorgen er en hemmelighed" , Danmarks Radio, Dokumentarzonen (2008.12.12))。



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